
農業の多面的機能
梅雨の季節になりました。
雨は鬱陶しいものですが、雨が無くては、人間は生活することができません。
雨は天の恵みそのものです。
私の家の近所では、田植えが始まっています。
毎年のことながら、農家の皆さんの努力があって美味しいご飯が食べられるのです。
日々のご努力に心から敬意を表します。
本日は、その景色を見て思うこと。 「農業の多面的機能」について、お話します。
「農業の多面的機能」とは、国際交渉の場で、私が諸外国に訴えてきたことです。
国際交渉では、農作物だけでなく、クルマやテレビなどの製品の貿易の枠組みについて、多国間で協議します。
貿易の枠組みを協議する場ですから、日本が他国から言われてしまうのは、
「日本はクルマや電化製品をたくさん輸出しているのだから、農作物の輸入をもっと進めるべきだ」
ということです。
たんに貿易の問題として考えれば、彼らの言うとおりなのですが、私は違う視点を示しました。
それが「農業の多面的機能」です。
農業は、単に食料を作るだけではなく、
人の心を和ませ、郷土の文化を守り、災害に強い国土を作る機能があります。
みなさんも田んぼや畑をごらんになったことがあると思いますが、その時に感じたことを思い出してみて下さい。
青い空、季節によって変わる苗や木々の色。
こんな風景を見て、心豊かな気持ちになったことはありませんか。
私は、農水大臣在任期間中、日本中の農業にたずさわるたくさんの現場にうかがいました。
その中でも印象的だった場所のひとつに高知県梼原町があります。
ここで見た「千枚田」は、日本人の英知、そして、日本のふるさとの美しい景色そのものです。
「千枚田」は、山の急斜面をムダなく耕地にするために先人たちが創り出したものです。
また、この「千枚田」には、細かく段がわかれているので冷害にも強いのだそうです。
そして、何より、このような景色を美しいと思う「心」を私たち日本人は持っていると思います。
私は、こうした知恵や文化をしっかりと継承していくのが、
この時代に生まれた私たちの責務であると、身も心もひきしまる思いがしました。
私が訴えた「農業の多面的機能」は、言葉や文化の壁を越えて、諸外国の皆さんに理解してもらえました。
今後も、農業を単に貿易の問題としてだけではなく、さまざまな視点も含めて考えていくようにしていきたいと思います。
(平成17年6月16日)
参考)
農林水産省WTOのページ http://www.maff.go.jp/wto/index.html
高知県梼原町ホームページ http://www.town.yusuhara.kochi.jp/
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