過去のコラム

第9回:BSE問題(下)

 〈こう着状態が続く中、日米両政府は4月、局長級協議を開き、輸入再開条件について夏を目途に結論を出すよう努力することで合意した〉

 向こう側に協議の期間をある程度限りたいという意向がありました。11月の大統領選挙を意識していたのでしょう。一方、日本も夏には参院選がある。どっちに有利ということではないと思いますよ。そもそも、夏という時期には非常に幅がある。
 私は夏までといっても、まとまるのは難しいのではと思っていました。4月以降、米国にも専門家を派遣し、いろいろ議論したが、向こう側から日本の消費者の意向を踏まえて対応しようという姿勢が感じられなかったからです。
 米国は全頭検査を非科学的と言い続けたが、日本で牛肉離れを回復したのは、全頭検査のおかげだからね。科学的知見を積み重ねて検査の問題を考える必要はあるが、日本の消費者の意識からすると、全頭検査が決定的な安心感を与えていると思いますね。

 〈日米協議の一方で、食品安全委員会がBSE国内対策の検証作業を5月から開始。全頭検査の是非が最大の焦点になった。9月の中間とりまとめで、20カ月齢以下の牛を検査から外すことを事実上容認した〉

 発生からちょうど3年が経過し、国内のBSE対策について、科学的な検証を行うには良い時期だと思いました。米国との議論が続いている中での検討なので、輸入再開の問題と関連付ける方がいらっしゃるのもやむをえないと思います。しかし3年経過したということも、やはり考えに入れなければならない。そこで、国民とのリスクコミュニケーションをしっかりやるように省内に指示しました。
 食品安全委員会の中間整理は、専門家の方が科学的な検証をやり、3年間の経過を踏まえて、一つの考え方を示された。これはリスク管理の側として、しっかり受け止めるしかありません。
 日米協議では、中川局長以下、消費・安全局の職員が強い使命感を持って当たってくれた。厚労省、食品安全委員会とのチームワークも良かった。9月のブッシュ大統領との日米首脳会談直前には「大統領がこの問題に言及するらしい。何とかならないか」という話が、ある筋から私のところに再三ありました。私は終始一貫、「国民の信頼を失うことはできない」と言い続けた。どことは言わないが、米国の顔色ばかり伺っている人たちがいるんです。幸い、小泉総理にも科学的な知見に基づくべきだという意識を持って対応していただいたので、大事に至らなかったがね。

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